幕府は、江戸にさまざまな目的をもつ学校を開設して偉容を示していたが、直轄地には、それぞれに学校を設立していた。江戸に開設されていた幕府の学校のうち最も重要な地位を占めていたのは昌平坂学問所であった。この学校は、儒学を修めることを目的とした学校であって、林家の学者を大学頭に任じて、この学校を主宰させていた。湯島の広い敷地に大きな規模の聖堂を設け、講堂や教官室をつくり、寮舎も設けてあって、最も大きな学校として著名であった。多くの藩ではここに藩校の教官を派遣し、儒学を修めさせる例もあって、江戸時代における儒学の中心をなす学校となっていた。
初出:1972(昭和47)年10月1日初版
関連:昌平坂学問所
文学作品より当時学校の様子、学生生活の輪郭を読み解く。