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文学作品より当時学校の様子、学生生活の輪郭を読み解く。

適塾 | ​『福翁自伝』福沢諭吉 -3

 私は是《こ》れまで緒方に這入《はい》らずに屋敷から通《かよ》って居たのであるが、安政三年の十一月頃からに這入《はいっ》て内《ない》塾生となり、是れが抑《そもそ》も私の書生生活、活動の始まりだ。


 元来緒方と云うものは真実日進々歩主義の塾で、その中に這入て居る書生は皆活溌|有為《ゆうい》の人物であるが、一方から見れば血気の壮年、乱暴書生ばかりで、中々|一筋縄《ひとすじなわ》でも二筋縄でも始末に行かぬ人物の巣窟《そうくつ》、その中に私が飛込《とびこん》で共に活溌に乱暴を働いた、けれども又|自《おのず》から外《ほか》の者と少々違って居ると云うこともお話しなければならぬ。


初出:1898(明治31)年7月1日号 - 1899(明治32)年2月16日号



文学作品より当時学校の様子、学生生活の輪郭を読み解く。


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