元来緒方の塾と云うものは真実日進々歩主義の塾で、その中に這入て居る書生は皆活溌|有為《ゆうい》の人物であるが、一方から見れば血気の壮年、乱暴書生ばかりで、中々|一筋縄《ひとすじなわ》でも二筋縄でも始末に行かぬ人物の巣窟《そうくつ》、その中に私が飛込《とびこん》で共に活溌に乱暴を働いた、けれども又|自《おのず》から外《ほか》の者と少々違って居ると云うこともお話しなければならぬ。
引用:『福翁自伝』福沢諭吉
初出:1898(明治31)年7月1日号 - 1899(明治32)年2月16日号
文学作品より当時学校の様子、学生生活の輪郭を読み解く。